「公平な相続」を実現するたった3つの心得

相続が開始すると、時には、事前に準備しておいた遺産分割協議書をその場の流れでサインさせようとしたり、いきなり郵便で送りつけてサインさせようとしたりする相続人が出てきます。

深く考えずにそのまま遺産分割協議書にサインしてしまうと、実はすごくバランスの悪い分け方で、公平な相続が実現できないということもあります。

今回は、「公平な相続」を実現する3つの心得についてお話しします。

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心得1:いきなり送られてきた書類にすぐサインしない

相続手続を相続人の一人に任せていたら、いきなり銀行の手続書類や遺産分割協議書が届く場合があります。「相続手続に必要な書類」として、あまり深く考えずにサインしてしまう場合もありますが、サインをする前に一歩立ち止まる必要があります。

たとえば、相続人が二人で、実家の土地建物があったとして、その評価額は3000万円だから、半分の1500万円をお金であげますよという内容の遺産分割協議書が送られてきたとします。相続分である1/2をお金でもらうのであれば公平だと思うかもしれませんが、3000万円が何を根拠とする評価額なのかが問題です。

遺産分割における不動産評価は市場価格で行いますが、相続税の基準である路線価とは異なります。もし、先の例にある3000万円は路線価で計算した評価額で、実際の市場価格は4000万円だった場合、本来、4000万円×1/2=2000万円が公平な遺産の分け方です。たとえ法定相続分で遺産分割をしても、その前提となる遺産の評価方法を誤解していれば、公平な分け方にはならないわけです。

遺産分割協議書その他の相続関連書類がいきなり送られてきても、遺産の内容や不動産の評価で誤解があるかもしれませんので、しっかり吟味する必要があります。

心得2:相続不動産の無料査定を取得する

相続で「損する」大きな原因の一つに、相続不動産の評価額を誤解するということがあります。特に、相続税の申告が必要な場合、税理士が計算した相続税評価額を当然の前提にして遺産分割しようとする相続人が出てきます。

しかし、相続税申告の基準である相続税評価額と遺産分割の基準である市場価格は異なりますので、相続税評価額を遺産分割でも当然の前提にする必要はありません。むしろ、遺産分割協議書にサインする前に、相続不動産の市場価格を把握しておく必要があります。

本来、不動産鑑定士に鑑定してもらえば一番いいのですが、費用が数十万かかる場合もありますので、最初から不動産鑑定をするのはハードルが高いです。一番おすすめなのは、不動産業者から無料で簡易査定書を取得することです。2~3社から簡易査定書を取得し、その平均値を取れば、それなりに客観的な評価額が出てくると思います(裁判でもよく取られる方法です)。

不動産評価額「なるもの」を鵜呑みにはせず、まずは無料の簡易査定書をベースに評価額を検証しましょう。

心得3:預金の取引明細書を最低3年遡って取得する

遺産は「法定相続分」(〇分の1といった割合)で単純に分けるのではなく、「具体的相続分」で分けます。そして、「具体的相続分」の金額は、

{(相続開始時の相続財産+特別受益-寄与分=みなし相続財産)×法定相続分}-(特別受益)+(寄与分)

で計算します。

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簡単に言えば、法定相続分(〇分の1という割合)は相続分を決めるための一要素にすぎず、生前贈与で遺産の前渡しを受けていたような場合、もらった人の相続分は減らすことができます

たとえば、相続人が二人で、相続開始に5000万円の預貯金があったとした場合、そのまま法定相続分1/2で分けると、相続で取得する金額は、

自分:2500万円
もう一人:2500万円

になります。

しかし、相続開始前、他の相続人が1000万円の生前贈与を受けていて、それを知らずに5000万円を1/2で分けると、実質的に取得する金額は、

自分:2500万円
もう一人:2500万円(+生前贈与1000万円)

になります。

本来の分け方は、「具体的相続分={5000万円(相続開始時の相続財産)+1000万円(特別受益)}×1/2=3000万円」ですので、

自分:3000万円(500万円↑
もう一人:2000万円(+生前贈与1000万円)(500万円↓

になります。

生前贈与を知らずに遺産分割協議書にサインしてしまうと、いわば減ってしまった遺産を公平に分けるだけですので、真に公平な相続にはなりません。

「残高証明書」では相続時に残っていた預金額が分かるだけで、生前、どれだけお金が動いたのかを知ることはできません。生前の預金口座の動きを知るためには、取引明細書(お金の出入りが一覧表になったもの)を金融機関から取得し、その内容を確認する必要があります(相続人であれば、通常、一人だけで取得できます)。少なくとも3年分は調査し、多額の振込や引き出しがあれば、生前贈与の可能性がありますので、遺産の分け方にも反映させるべきでしょう。

なお、預金口座を解約していると、取引明細の開示に応じない金融機関があります。遺産分割協議書の作成に先んじて相続手続がどんどん進み、預金口座を解約されてしまうと、調査に不可欠な取引明細書を取得できず、送金・出金状況の調査が困難になります。少しでも気になる場合は、先手先手で対応する必要があります。

公平な相続は円満な相続も実現する

いきなり送られてきた遺産分割協議書にすぐサインしたり、流れ作業で遺産分割協議書にサインしたりすると、その時は平和に終わったように見えます。しかし、揉め事をただ先送りするだけの結果になる場合もあり、それでは円満な相続とは全く言えません。

「公平な相続」を実現する3つの心得は、金額的に損をする相続人にとってだけではなく、一時的に得をした相続人にとっても、将来的なトラブルを避けるための大事な方法にといえます。

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