家業の手伝い 寄与分

親の事業の手伝いを寄与分として相続分を増やす方法

家業の手伝い 寄与分

他の兄弟は法定相続分で分けるのが法律だと言っていますが、私は、長年、亡くなった父の事業を手伝い、売上を伸ばすことに貢献してきました。父の資産を増やすことにも貢献したわけですから、何もしなかった兄弟と相続分が同じなのは納得できません。私の相続分を増やす方法をわかりやすく教えてください。

①事業の手伝い(従事)も寄与分になる可能性がありますが、なんでも寄与分になるわけではありません。「特別の貢献」などの要件をクリアする必要があります。

②一般的には、賃金センサスや家計調査報告などの統計資料をベースに寄与分を算定することが多いです。

ゲートウェイ東京法律事務所の代表弁護士の髙橋と申します。

ご依頼の9割以上が相続に関する案件で、特に遺産分割、遺留分請求、使い込み問題に力を入れている「相続に特化した弁護士」です。

今回は、【親の事業を手伝っていたことを寄与分とし、相続分を増やしたい人】に向けたお話になります。

もめないことが一番大事な人であれば、ここから先のお話には価値がありません。申し訳ありません。

しかし逆に、形だけの円満相続で後悔したくない人、キッチリした「普通の相続」を実現したい人であれば、ポイントを知っておくだけでもあなたの相続は変わります。ただし、寄与分の理屈はとても難しいので、正しい理解が必要です。

事業の手伝いを寄与分として主張するときは理屈がとても大事

親が事業をしているとき、相続人の一人が親の事業を手伝っていることがよくあります。自分の時間と労力を提供していた相続人としては、この貢献が相続で何も反映されないのは納得できないでしょう。

問題は、

寄与分として、一体いくら相続分を増やせるのか

です。

なんとなくの感覚で決めようとすると、基準のない世界になりますので、法定相続分で分けようとする他の兄弟との溝がなかなか埋まりません。

そのため、親の事業の手伝いをしていたことがなぜ寄与分になるのか、いくら寄与分として評価するかを理屈で説明する必要があります。

説明のポイントとなるのは、

  1. そもそも、法律上、寄与分になるのか(寄与分の要件)
  2. 寄与分はどのように計算するのか(寄与分の計算方法)
  3. 寄与分を金銭で評価するといくらになるのか(寄与分の金額)

です。

事業の手伝いが寄与分になる要件

事業の手伝いを理由に相続分を増やそうとする場合、まず考えるべきことは、そもそも寄与分になるかどうかです。寄与分にならないのであれば、少なくとも法律上は、相続分は増えません。

事業の手伝いが寄与分になるためには、以下の要件をクリアする必要があります。

  1. 相続人自らの寄与があること
  2. 行った事業の手伝いが「特別の」寄与であること
  3. 遺産が維持又は増加したこと
  4. 遺産の維持又は増加が行った不動産管理によるものであること(因果関係)

以下、要件を一つ一つ見ていきます。

①相続人自らの寄与があること

相続人が自分で事業の手伝いをしていたことが必要です。

自分の代わりとなるアルバイトや業者を雇い、その費用を負担していた場合、この要件をクリアしません。ただし、金銭を支出したという別の寄与行為になりますので、相続分に影響しないというわけではありません。

なお、相続人の寄与と同視できる場合には、配偶者等の寄与も相続人の寄与分として考慮される可能性があります。しかし、平成30年の相続法改正により、相続人以外の親族による寄与分は、「特別寄与料」として請求できることになりました(民法1050条)。そのため、相続人以外の親族による寄与分は、原則として、特別寄与料で対応することになります。

②行った事業の手伝いが「特別の」寄与であること

寄与分の制度は、条文上、ただの貢献ではなく、「特別の寄与」を対象としています(民法904条の2・1項)。

「特別の」と定められている以上、

通常期待される程度を超える貢献であることが必要

です。

つまり、

事業の手伝いをすれば、なんでもかんでも寄与分になるわけではない

ということです。

ここは誤解されがちなところですが、とても重要です。

ここまで聞くと、じゃあ「通常期待される程度を超える貢献」かどうかをどうやって判断するんだ、と言いたくなるのではないでしょうか?

寄与分の決め方は、法律上、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮」すると定められています(民法904条の2・2項)。一切の事情を考慮しますので、必ずしも明確に寄与分を決められるわけではありません。

しかし、寄与行為の類型に応じて、ある程度の判断基準はあります。
事業の手伝いであれば、「特別の寄与」といえるためには、以下の要件が必要とされています。

  • 特別の貢献を行ったこと(特別性)
    亡くなった人との身分関係に基づいて通常期待される範囲を超えていることが必要です。

    たとえば、年末年始に請求書や領収証を整理してあげるなどのちょっとした手伝いであれば、特別の貢献とまではいえないでしょう。

  • 無報酬又は一般的な給料よりも著しく低い報酬で従事したこと(無償性)
    無報酬又はそ一般的な給料よりも著しく低い報酬で事業の手伝いをしていたことが必要です。もらうものをもらっていたのであれば、相続人としての特別の寄与とはいえないという発想です。

  • 相当期間継続して労務を提供したこと(継続性)
    事業の手伝いを相当期間継続して行っていたことが必要です。

    必ずしも明確な基準があるわけではありませんが、少なくとも数年程度は必要なのではないかと思われます。

  • 主に親の事業に労務を提供していたこと(専従性)
    一定時期の手伝いに留まるものではなく、主に親の事業に労務を提供していたことが必要です。

    そういう意味においては、事業の手伝いを寄与分とするというよりは、事業への従事を寄与分とするという発想になろうかと思います。

    ただし、親の事業にだけ労務を提供すること(専業、専念)までは必要ないとされています。他の業務を行っていたからといって、専従性が否定されるわけではありません。

③遺産が維持又は増加したこと

寄与分で相続分を増やす以上、遺産を維持したり増やしたりする財産上の効果が必要です。

④遺産の維持又は増加が行った介護によるものであること(因果関係)

相続人が事業の手伝いをすることによって、親の遺産が維持・増加したという因果関係が必要です。

事業の手伝いをすれば、遺産は維持又は増加するのが通常とも考えられます。
しかし、一方で、事業収益によって手伝っていた相続人も生活をしていた面もあります。

そのため、遺産の増減の状況、事業収益の額・使い道、事業を手伝っていた相続人の生活費等も考慮し、貢献によって遺産の維持又は増加としたという因果関係を判断することになります。

事業手伝いの寄与分を金銭で計算する方法

事業の手伝いを相続分に反映させるためには、寄与分を金銭的に計算・評価する必要があります。そうでないと、なんとなくの感覚で決めることになり、双方の溝を埋めることが難しくなります。

そのため、事業の手伝いという寄与行為を、寄与分の額という金銭的な評価に変える作業が必要です。

問題は、

寄与分をどのような算定式で計算するか

です。

この点、法律では、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める」と規定されています(民法904条の2第2項)。

ここまで聞くと、「一切の事情を考慮するのであれば、基準なんてないじゃないか」と言いたくなるのではないかと思います。しかし、他の兄弟に説明し、理解してもらうためには、何らかの基準が必要です。

考え方は分かれますが、一般的に考えられる算定式は、以下のとおりです。

  • 貢献をした相続人が通常得られたであろう報酬額×(1-生活費控除割合)×貢献した期間

貢献をした相続人が通常得られたであろう報酬額については、「賃金センサス」といった公の統計資料を参考にして決めます。

生活費を控除するのは、貢献をした相続人やその家族の生活費が事業収入から実質的に支出されているといえるからです。生活費の実費が分かればいいのですが、分からない場合は、「家計調査報告」といった公の統計資料を参考にして決めます。

なお、長期にわたって事業に従事してきた場合、報酬額の算出ではなく、遺産に対する貢献割合で寄与分を算定した裁判例もあります。算定式は一つだけではありませんので、それは頭に置いておく必要があります。

家業が会社経営の場合

親の会社と親個人は別の法人格であり、家業が会社経営であれば、あくまでも会社に対する貢献です。原則として、親個人に対する貢献にはあたりません。

しかし、名ばかりの会社で、実質的には親の個人事業といえるのであれば、寄与分が認められる可能性はあります。

相続の正しい理解が大事

寄与分の要件や計算方法をきちんと知っていれば、事業の手伝いという貢献を寄与分として説明でき、単純に法定相続分で分けざるを得なくなることを避けられます。

寄与分はとても難しいですが、ポイントだけであれば、素人でもある程度までは対応できます。

もちろん、さらに進んで相続のことを知っておくに越したことはありません。
相手とやり合うための知識をもっと身に着けたいという人は、

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あなたが形だけの円満相続で後悔せず、「普通の相続」を実現することを祈っています。

もし話し合いの進め方で悩むことがあれば、遠慮なくご相談ください。一緒に解決策を考えましょう。

品川 相続 弁護士

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